総合的な探究の時間Report vol.1
静岡市立高等学校
2018年度より、文部科学省S S H(スーパーサイエンスハイスクール)第2期スタートに伴い、科学探究科が牽引してきた探究的な学びを普通科にも拡大し、「総合的な探究の時間」を導入した静岡市立高等学校の取組について、辻陽介先生と西村愛未さんに取材しました!
==基本情報==
探究スタート年度:2018年(普通科)
授 業 頻 度 :週1回+フィールドワーク
年間授業時間数 :35時間(普通科)+フィールドワーク
探究担当教員数 :40人
実 施 学 年 :1・2年(普通科)
外部コーディネーター:あり (しずおか共育ネット 代表理事 井上美千子)
【辻先生に聞きました!】
Q1. 市高の生徒は積極的に探究に取り組んでいる印象が強いのですが、プログラム設計における学校の狙いを教えてください。
生徒自身の中にあるやりたいこと、興味を持ったことを大切にし、深め続けるような授業設計をしています。そのため、年度の途中でテーマが変わることを最初から許容しています。インサイドアウトとアウトサイドイン(※1)を往還しながら、生徒の主体性が発揮されるような環境づくりをしています。
(※1)
インサイドアウト
内から外に向かって問題を解決する手法
アウトサイドイン
外部環境を変えることで課題の解決を図ること
Q2. 市高の探究はフィールドワークが充実していると思うのですが、フィールドワークについて詳しく教えてください。
本校の探究には、3年生の担任をのぞくすべての教員が伴走者として生徒のプロジェクトに関わり、地域をまるごと学びのフィールドにして、探究的な学びを創っています。
1・2年生の生徒は必ず1人1回は学校を飛び出したフィールドワークを実施しています。
フィールドワーク先は、地域の農家さんやまちづくりに取り組む団体等様々ですが、学校を飛び出し「せのび」する経験を積み重ねています。
Q3. 普通科で探究がスタートして4年目の成果と今後の課題について教えてください。
アンケートでは、約9割の生徒の進路意識が前向きに向上したという結果が出ています。
以前は、先生の中で探究に取り組むことで学力低下を不安視する声もあったのですが、探究で経験したことや学んだことを、自分自身の進路や自己実現につなげる生徒が増えており、そういう生徒の変容を見て、先生方の探究的な学びに対する理解も深まってきました。
しかし、失敗を恐れてなかなか前進しないプロジェクトがまだ多く、熟慮の失敗を積み重ねられる生徒を育てたいです。
【西村愛未さんに聞きました!】
Q1. 西村さんは、外部の探究プログラムに積極的に参加していたと聞きましたが、どんなプログラムに参加し、何を感じたのか教えてください。
高校2年生の時に、静岡銀行主催の「静岡魅力探究プログラムーアオハルし放題」に参加しました。
もともと「旅行」に興味を持っていたため、卒業旅行in静岡を企画するというテーマに惹かれてエントリーしました。このプログラムに参加したことがきっかけとなり、自分で何かを企画する楽しさに目覚めました。
プログラム終了後も、他のチームから刺激を受け、イベントを企画・開催するなど試行錯誤を続けています。
Q2. 西村さんがもう一度高校で探究に取り組むとしたら、どんなことに取り組みたいですか?
もう一度探究ができるとしても、きっと今と全く同じことをします。自分の興味関心に繋がることであればなんでもやりたい!
目的を見つけることよりも、まずは先に行動できる人でありたいと考えています。後から自分の選択が良かったと思えるように活動することの方が重要です。チャンスがあるなら、踏み出さなくっちゃもったいないと思います。
Thanks for 静岡市立高等学校
インタビューにご協力いただき、ありがとうございました
西村 愛未 さん(高3)
辻 陽介先生
~編集後記~
静岡市立高校の生徒さんと先生の輝きに見惚れてしまいました。私は大学で授業の一環でフィールドワークを行っていますが、高校生の学びの方が進んでいるような感じがしてしまいました。小さなきっかけでも主体的に深い学びに繋げていくお話が印象的でした!生徒さんに感化されてこれから頑張れそうです!
(静岡大学 中垣乃彩)
取材日:2022年2月