総合的な探究の時間Report vol.3
静岡県立川根高等学校
今年度、川根高校の探究学習に協力した外部人材は、のべ239人。
コロナ禍でもオンライン・オフラインを駆使してこれだけ多くの方とつながり
まなびを深められるのは、川根高校が誇れる(他校にはない)大きな特長です。
そんな川根高校の取組について、池田哲朗先生と大森彩さんに取材しました!
==基本情報==
探究スタート年度:2019年
授 業 頻 度 :週1回+フィールドワーク
年間授業時間数 :35時間+フィールドワーク
探究担当教員数 :全員
実 施 学 年 :全学年
外部コーディネーター:あり (地域おこし協力隊)
【池田先生に聞きました!】
Q1. 川根高校の探究学習はどのようなカリキュラムで進められているかについて詳しく教えてください。
1・2年はマイテーマの設定・研究を行い、3年では学校設定教科(地生学)を選んだ生徒が自分の研究を磨き上げ、その経験や成果を大学受験に生かしています。
Q2. 豊かな自然に囲まれた川根高校ですが、探究学習を行う上でどのような環境だと感じていますか?
学校と地域が非常に近い関係にあり、川根高校は探究学習をする上で、町民の方々の協力を得やすい環境にあります。教員・生徒からはもちろん、地域からも様々な提案が出されることから、校内外に取りまとめ役を設けて高校生の探究学習につなげやすい環境を整えることで、2021年度はのべ239人もの外部の方が川根高校の探究学習に協力してくださいました。
Q3. 最後に、川根高校が目指す探究学習の在り方はどんなものか教えてください。
結論から言うと、自分なりに試行錯誤して探究活動を行うことを通して自分が成長したと実感できるようにすることです。
成果よりも自分に自信を持てるようになる、そして自分の人生と向き合い、将来を考える力を育てることを大事にしています。
そのように生徒の自己成長を支援した結果として様々なコンテストで入賞するような研究もここ数年で一気に増えました。
【大森彩さんに聞きました!】
Q1. 大森さんは川根高校でどのような探究学習を行い、何を感じたのか教えてください。
特に印象深いのは2年生の時に町の観光名所「寸又峡」の観光案内板をリニューアルしたことです。自分視点ではなく「観光客にとって面白いものを考える」という共通の目標を立てて仲間と話し合いを重ねました。苦労もありましたが、謎解きの要素を取り入れたユーモアあふれる看板が完成したとき、大きな達成感を感じたのを覚えています。
Q2. 大森さんが3年間川根高校での探究学習を通して気がついたことはなんでしたか。
まず、地元川根本町の魅力を自分自身で再発見することが出来たと思います。自然や景観だけではない、人の暖かさや心を癒す空間など新たな魅力を見つけることができました。
また探究学習を通して自分の生き方を考えるうちに、自分が「地域づくり」をしたいと思っていることにも気が付きました。こうした気づきが大学の進路を考える大きなきっかけになったと思います。
Thanks for 川根高等学校
インタビューにご協力いただき、ありがとうございました
大森 彩 さん(3年)
池田 哲朗 先生
~編集後記~
お二人の話に共通していたのは「川根高校の探究学習の凄い所は、町全体が活動に非常に協力的」だということです。やはり外部人材の協力が得やすいという環境は学習の幅が広がるだけではなく、生徒の高いモチベーションにもつながるのかもしれません。また豊かな自然と協力的な人々に囲まれてのびのびと探究を行うことで、研究結果だけではなく、豊かな思考や人間性も育まれているように感じました。
(静岡大学 竹田有那)
取材日:2022年3月