総合的な探究の時間Report vol.6
静岡県立榛原高等学校
2015年度より、牧之原市と協同してファシリテーションに取り組むなど、早くから地域と学校が連携し探究を進め、常に進化し続ける榛原高校。
今回は1年生ながら代表として「全国高等学校グローカル探究オンライン発表会」や「ふじのくに地域大学フォーラム」への参加等、大きな舞台の経験も踏んできたグループの4人と生徒たちの探究を見守ってきた先生に取材しました!
==基本情報==
探究スタート年度:2018年
授 業 頻 度 :隔週1回
年間授業時間数 :35時間+α
探究担当教員数 :20人
実 施 学 年 :全学年
外部コーディネーター:一般社団法人CLIP,
しずおか共育ネット 代表理事 井上美千子
Q1. はじめに、1年間どんな探究をしてきたのかについて教えてください。
若林由莉奈さん:
授業でいくつか選択肢があったテーマの中で、私たちは「防災」というテーマで探究してきました。
ペットも家族の一員であるという意見から「牧之原市に住む人とペットを守る」をサブテーマとし、若者の防災意識を高めるための解決策としてVRゴーグルを使い、実際の牧之原市内に津波がきたらどうなるかを体験できるように工夫しました。難しいと思われたこのアイデアも他校の先生の協力もあり、実現することができました!
VR撮影中の風景
Q2. 1年を通して自分自身が変わったと思うところはなんですか?
増田浩大さん:
私は気持ちが長続きしないタイプで、発表の機会をもらった時も実はあまり前向きな気持ちではありませんでした。しかし、こうして最後までやりきって振り返ってみると、成果を残すことができて成長したと思います。
若林由莉奈さん:
私は皆の前で話すことは苦手でしたが、リーダーを務めることになり、学校の代表として選ばれたことで学内や学外でも発表の機会を多くいただき、少しは緊張せず話せるようになった気がします。
Q3. もしもう一度このメンバーで同じ探究ができるとしたらどうしますか?
増田浩大さん:
発表会の時も、VRとペットを救うことのつながりが弱いと指摘を受けました。次回はもっと深く思考し、因果関係がはっきりとした導線を考えたいと思います。
石井俊輝さん:
探究を進める上で、一つのことを考えているうちに他のことがいくつも思い浮かんできて、考えを整理するのに苦労しました。私たちが「避難する」という時間軸に沿って探究してきましたが、避難の仕方など、「防災」というテーマでもたくさんの切り口から考えることができたはずなのでもっと違う切り口もあったのかなと思います。
Q4. 榛原高校の探究の授業のイチオシポイントを教えてください!
原口教次先生:
探究に伴走する先生は誰でも生徒の中から普通とは違ったより面白いアイデアを引き出せるように意識しています。
課題をみつけて課題を解決するというような大それたことではなくても、自分たちでかき集めた情報をもとに探究をすすめた生徒たちは、自分ですぐには実感できなくとも着実に成長してくれています。
石井俊輝さん:
先生方が熱心に私たちを見ていてくれるからこそ、その熱に動かされ安心して探究することができたと思います。先生の「面白さ」を求める助言があったからこそVRというアイデアも生まれたのでよかったです!
Q5. 先生! 語り足らない榛原高校のこだわりやアピールポイントを教えてください!
原口教次先生:
榛原高校は昔から社会と繋がる機会にめぐまれている高校で、自分の興味をもったテーマに関連して市役所の人と関わったり、近隣地域の企業の人に来ていただいてお話をきいたりすることができます。
下村武治先生:
学校の設備としてもインターネット環境を整え、生徒達が授業時間内に思い思いに調べ学習や情報共有ができる環境があるのも強みです!
Thanks for 静岡県立榛原高等学校
インタビューにご協力いただき、ありがとうございました
左から若林由莉奈さん 曽根優太郎さん
石井俊輝さん 増田浩大さん(高2)
原口教次先生 下村武治先生
~編集後記~
まだ2年生になったばかりとは思えない逞しさと度胸と少しのフレッシュさが伝わってきて皆さんがとてもキラキラして見えました! 今年から始めるという個人の探究も既にテーマが決まっているそうで楽しみです! 榛原高校の探究学習の強みについて聞いたとき「他の高校を知らないから……」とすぐ答えが返ってきませんでしたが、こんな素敵な経験が当たり前に目の前にある環境がうらやましいと思いました! そして、もっと各校でも取組が広まっていってほしいと強く思いました。
(静岡大学 中垣乃彩)
取材日:2022年5月