総合的な探究の時間Report vol.9
静岡県立熱海高等学校
卒業生の多くが地元に残ったり、将来戻ってきたりするという熱海高校。そのような土地柄もあって、「熱高ラボ」では、将来地域で活躍する人材の育成をテーマに、地元の企業とコラボレーションしながら1~2年次にかけて探究活動に取り組んでいます。
今回は「熱高ラボ」のカリキュラムの中でも情報収集の方法、アウトプットの仕方といった基本的な能力を育成することを目的とした1年次の取組の中で、「防災」をテーマにした調べ学習を行い、意義のある成果報告をしたグループの2人にインタビューしました!
==基本情報==
探究スタート年度:2017年ごろ
授 業 頻 度 :週1回(1~2時間)
年間授業時間数 :35時間+α
探究担当教員数 :3人
実 施 学 年 :1、2年
外部コーディネーター:あり (地域協働学習実施支援員 水野綾子様)
Q1. 小川さんと玉井さんが1年生の時に行った探究学習(熱高ラボ)について教えてください。
玉井隆一さん:
「災害時に避難指示で住民をちゃんと避難させるにはどのような手立てがあるのか。消防団などが有効なのではないか。」という疑問について調べるために、市の防災担当の方や、消防署の職員の方、また地域の消防団の方にインタビューを実施しました。
それぞれの防災対策や、昨年の伊豆山土石流災害の当時の状況について伺い、最後に結果をまとめて発表しました。
Q2. このテーマに決めた理由と、インタビューを通してわかったことを教えてください
小川瑠唯さん:
熱海はもともと台風など自然災害が発生しやすい地域であったことと、伊豆山の土石流災害があったことから防災をテーマにしました。また自分の周囲で避難指示が出ても「まあ大丈夫だろう」と、避難しない人がいたこともこのテーマにした理由の一つです。
インタビューを通して、災害時に地域の人と顔見知りの消防団の方が直接避難をお願いすると、住民が避難してくれやすいことが分かりました。そのために平常時から、広報誌や放送を活用して防災情報を地域に発信しているそうです。
実際の発表資料
Q3. この熱高ラボの経験を経て、自分たちが得たものは何ですか。
玉井隆一さん:
話すのが苦手で、人見知りの自分が今回インタビューという機会を持ったことで、大人の方々と目を見てしっかりお話しすることが出来ました。
小川瑠唯さん:
アポ取りから自分たちで行いました。発表した後に、自分たちが思っていた以上に、いろんな人から評価されたのが嬉しかったし、何より自信につながりました。
Q4. 先生から見てこの二人の研究の良かったところはどんなところでしたか。
影山大樹先生:
ストーリーがすごくよかったです。まず避難指示で住民が動かないという課題があって、市役所の方に聞いたら自分で判断してほしいという話を聞き、消防署の方に聞いたら、地元の消防団が言えば動いてくれるという話を知り、もっと深堀するために消防団にも話を聞きました。
このようにインタビューの中でヒントを見つけて研究を発展させていく過程がよかったと思います。
Q5. 最後に熱海高校の探究学習の一押しポイントを教えてください。
小川瑠唯さん:
自分たちが住んでいる地域について学べることが良いところだと思います。
玉井隆一さん:
熱海の出身者でない私が熱海に興味を持つことが出来たことです。
影山大樹先生:
熱海高校の探究学習では教員があまり生徒に関与することはせず、情報提供等のサポートをする程度に留めています。それでもこの2人のように私達の想定以上の成果を生徒たちが上げています。「あえて生徒に任せてみる」ことが一押しポイントだと感じています。
Thanks for 熱海高等学校
インタビューにご協力いただき、ありがとうございました
玉井 隆一 さん(高2)
影山 大樹先生
小川 瑠唯さん(高2)
植松 葵さん(高2)
~編集後記~
熱海高校の生徒2人が自力でアポイントメントをとって、大人に直接インタビューを進めた勇気と行動力には私も学ぶべきことがたくさんあると感じました!!また実体験と実際に起きた災害から始まったこの調査は社会的意義が高いと思うので、この次の熱海ラボでもぜひ引き継いで、さらに発展してほしいなと個人的に思います。応援しています!
(静岡大学 竹田有那)
取材日:2022年6月